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顧客の要望を踏まえ、リスクを勘案した上でパフォーマンスを向上させるという目標に変える、とあるプライベートバンカーは言う。
プライベートバンクは“運用が優れている”と、なんとなく暖昧な評判をつくりあげているが、パフォーマンスが良いか、悪いか、顧客と担当者以外は外部には分かりにくい。 不透明さを払拭するには運用成績を公表することだ。
これまで運用成績を測定する試みは、運用資産の内容が顧客ごとに異なり、評価の基準となる指標を設定することは困難である、という理由でなかなか実現しないでいた。 個人の運用資産のパフォーマンスの評価方法は、他のファンドと変わるものではないだろう。

年金基金の運用成績の評価測定でよく知られているWH社(アメリカの運用成績評価会社)はすでに、イギリスで個人顧客のために“一任運用資産”について評価サービスを開始している。 日本にもオフィスがあり、いつでも始められる。
日本でも投信の運用成績評価会社が続々と生まれている。 近い将来、投資顧問会社の運用パフォーマンスの評価もされるようになるだろう。
優秀なファンドマネジャーというものは、プレゼンテーションも上手だし、自分の運用成績を誇示できる機会を歓迎するものだ。 投信や年金などの場合はそうであっても、プライベートバンカーは必ずしもそれを望んでいない。
イギリスやスイスの大手のプライベートバンクでは、インハウスの投資信託を持っており、これらは中位規模の顧客の資産に組み込まれているが、外部にも販売されている。 ほとんどオープンエンド型で販売手数料は2.5%が普通だ。
これらの投信の運用成績は定期的に発表されている。 歴史的にスイスでは株式運用に慎重で、株式組入率は20〜30%程度までである。
しかし、証券市場の発達したイギリスでは株式運用に積極的で、60%の株式の組入れ比率でも当り前と思、っている。 イギリスの投資顧問会社では70〜80%の株式組入れをすすめるところもある。
運用成績を重視すると同様、顧客は「手数料」にも関心をもっている「手数料」の分野はプライベートバンクの経営にとって最も重要で、あり、競争も激しい。 1ベーシスでも安くして顧客を獲得しようとする。
運用が良ければ顧客は気前良く手数料を払うが、運用が悪ければ手数料が高く感じられる。 手数料については、市場はますます競争が激しくなっている。
この結果、イギリスではほとんどのプライベートバンクはここ数年の間、年間マネージメント・フィーを軒並み1%そこそこまで引き下げざるを得なかった、と言われている。 スイスのプライベートバンクの運用管理手数料はどうなっているか。

一般にスイスのプライベートバンクの料金は基本的なマネージメント・フィーの他に様々なチャージ、例えば株式・債券などの売買手数料、送金手数料、為替手数料、配当金受取手数料などが徴収される。 これはイギリス、アメリカにおいても同様である。
ディズニーランドのように資金が“動く”たびに料金がチャージされる。 マネージメント・フィーは銀行によって仕組みも料率もかなり異なるが、単なる保護預かりの手数料ほぼ0.15%(年間)で共通している。
プライベートバンカーは顧客のために、合法的に「税金を回避する」のを助けるが、脱税の智助はしないと言う。 プライベートバンクの顧客の最も関心の強い分野の1つが、税金である。
富裕層がプライベートバンクの門を叩くのは、自分の資産を維持したい、安全に確実に資産を次代に受け継がせたいという願いからである。 近年は、自分の資産を増やしたいという意識が強くなっているが、それでも古くからの顧客は資産の保全を最優先に考えている。
資産を守るにしても増やすにしても、税金はいつもついてまわる。 税金は国家との関係でいつも微妙な問題である。
プライベートパンカーは税務に関する限り非常に慎重に対応している。 富裕層にアプローチする時には“節税の方法の存在”(いい話)をほのめかすが、具体的な話になると“正面”には出たがらない。

「税金を半分にする方法があります」というが「その先の具体策は税務の専門家と相談して決めてください。 決めた後の手続きはこちらでやります」といった具合だ。
ほとんどのプライベートバンカーは、税金対策のアドバイスは「会計士、弁護士など専門家から出されるべきもの」で、プライベートバンカーは、これらの専門家の提案やアドバイスを、ただ実行するだけだ、と言う。 こんなことがあった。
ルクセンプルグはタックスへイプンの1つだが、38万の人口の小国に200行もの銀行がある。 その多くがプライベートバンキンク。
を行っており、中でもドイツ勢が圧倒的な力を持っている。 銀行制度も守秘義務もスイスによく似ていてスイスのライバルといわれているが、スイスとの大きな違いはEUに入っているかどうかだけである。
ここには日本の興銀や日本生命、日興証券などか古くから子会社を持っている。 ドイツの銀行は、93年に制定された利息にかかわる30%の源泉税を逃れさせる目的で、ドイツから投資家を源泉税のないルクセンプルグに積極的に勧誘したことがある。
この時、ルクセンプルグのドイツ系の銀行は、莫大な利益をあげた。 投資家にアドバイスしたのは“プライベートバンカーズ”であったといわれる。
ドイツ政府はカンカンに怒っていまでも彼らを目の敵にしている、という。 アングロサクソンのプライベートバンカーは資産を課税からかくまう手段として「信託」をフルに活用している。

「信託」には、様々な形があるが、相続や不動産の税務対策の中枢に使われる合法的な手段である「信託」はイギリスに生まれた制度で、アングロサクソン系のプライベートバンクで広く使われているが、もともと「信託」の概念がなくまだ「信託」の制度が整備されていないヨーロッパ大陸は、その有望市場である、と見られている。 例えば、クラインオート・べンソンでは現在、親銀行のドレスナーと組んで、大陸の投資家に“効果的”な節税対策を武器に積極的に新規開拓を行っているが、“信託に資産を委託する”という考え方についていけない人達の説得に苦労しているという。
課税住所の変更をアレンジプライベートバンクから提供されるサービスの1つは、課税住所の変更をアレンジすることである。 世界には、投資家に対して一種の“移住”による税金回避手段を提供して、誘致を図っている国が数多くある。
これの典型的な“顧客”は不安定な母国の政治体制を恐れている人達である。 課税住所の変更といえば、1997年7月に中国の法律に変更になった香港ほど、話題になったところはない。
一族の1人をアメリカ、カナダ、オーストラリアなどにそれぞれ移住させるとともに、資産の一部を別のタックスへイブンに移す金持ちが続出した。 香港財閥の多くはケイマンやサモアにオフショア・カンパニーをもって「万が一」に備えている。
また、英領パージン諸島にある10万余のオフショア・カンパニーの約75%が香港のものといわれる。 また、96年に中国が台湾海峡で威嚇的な大演習を行った直後から、台湾からの資金の国外流出はすさまじく、世界中のタックスへイブンで話題になったという。
中国人はリスクにはわれわれ日本人に理解しがたいほど敏感である。


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